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薬剤師とは?

薬剤師の歴史

薬剤師の昔

東洋では、薬が医療の中心であったため、薬師如来としてあるように医師と薬剤師の区別はありませんでした。

一方で、西洋では1240年頃フリードリヒ2世によって医師が薬局を持つことを禁止した5ヵ条の法律が制定され、医師と薬剤師の人的、物理的分離、医師が薬局を所有することの禁止などの条項が定めらました。これが医薬分業と薬剤師の起源とされています。これは処方と調剤を分離し、自己の暗殺を防止することが目的であったという説が有力です。これは現在においても、医師の過剰処方による患者の薬漬けや処方ミスの防止を目的に世界的に行われています。

日本では古来からの医薬同一の医療体制を近代化するため、ドイツの医療制度を翻案し1874年(明治7年)8月医政が公布され、近代的な医療制度が初めて導入されました。これにより「医師たる者は自ら薬をひさぐことを禁ず」とされ、医師開業試験と薬舗開業試験が規定されました。薬舗を開業するものは薬舗主とされ、これが日本の薬剤師の原形となりました。さらに1889年(明治22年)には薬品営業並薬品取扱規則(薬律)が公布され、「薬舗」は薬局、「薬舗主」は薬剤師と定義されました。

1925年(大正14年)薬剤師の身分法である薬剤師法が公布されました。1943年(昭和18年)には、薬律、売薬法、薬剤師法を統合して薬事法が制定され、薬事法により薬剤師会令が公布されました。

薬剤師の昔

1948年(昭和23年)終戦により新薬事法が公布されました。1960年(昭和35年)には、国民皆保険を基本とする健康保険制度を発足させるため薬事法が施行され 薬剤師の身分法が、再び薬事法から分離され、併せて薬剤師法が公布されました。

2004年(平成16年)薬剤師法・学校教育法が改正され、2006年4月より薬剤師養成を目的とした大学薬学課程は、4年制から6年制に改訂されました。

2014年(平成25年11月)薬事法が改正され名称も医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律に変更され、これまで医薬品と同様に扱われていた医療機器等について医薬品とは、別の規制をするため独立した章が設けられ今日に至ります。

倫理規定

1997年(平成9年)薬剤師倫理規定(日本薬剤師会制定)が30年ぶりに改訂されました。

前 文

薬剤師は、国民の信託により、憲法及び法令に基づき、医療の担い手の一員として、人権の中で最も基本的な生命・健康の保持増進に寄与する責務を担っている。この責務の根底には生命への畏敬に発する倫理が存在するが、さらに、調剤をはじめ、医薬品の創製から供給、適正な使用に至るまで、確固たる薬の倫理が求められる。

薬剤師が人々の信頼に応え、医療の向上及び公共の福祉の増進に貢献し、薬剤師職能を全うするため、ここに薬剤師倫理規定を制定する。

第1条(任務)薬剤師は、個人の尊厳の保持と生命の尊重を旨とし、調剤をはじめ、医薬品の供 給、その他薬事衛生をつかさどることによって公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって人々の健康な生活の確保に努める。

第2条(良心と自律)薬剤師は、常に自らを律し、良心と愛情をもって職能の発揮に努める。

第3条(法令等の遵守)薬剤師は、薬剤師法、薬事法、医療法、健康保険法、その他関連法規に精通し、これら法令等を遵守する。

第4条(生涯研鑽)薬剤師は、生涯にわたり高い知識と技能の水準を維持するよう積極的に研鑽するとともに、先人の業績を顕彰し、後進の育成に努める。

第5条(最善尽力義務)薬剤師は、医療の担い手として、常に同僚及び他の医療関係者と協力し、医療及び保健、福祉の向上に努め、患者の利益のため職能の最善を尽くす。

第6条(医薬品の安全性等の確保)薬剤師は、常に医薬品の品質、有効性及び安全性の確保に努める。また、医薬品 が適正に使用されるよう、調剤及び医薬品の供給に当たり患者等に十分な説明を行う。

第7条 (地域医療への貢献)薬剤師は、地域医療向上のための施策について、常に率先してその推進に努める。

第8条(職能間の協調)薬剤師は、広範にわたる薬剤師職能間の相互協調に努めるとともに、他の関係職能をもつ人々と協力して社会に貢献する。

第9条(秘密の保持)薬剤師は、職務上知り得た患者等の秘密を、正当な理由なく漏らさない。

第10条(品位・信用等の維持)薬剤師は、その職務遂行にあたって、品位と信用を損なう行為、信義にもとる行 為及び医薬品の誤用を招き濫用を助長する行為をしない。

以 上

薬剤師になるには

薬剤師の昔

薬剤師として働くには、薬剤師国家試験に合格して薬剤師免許を取得しなくてはなりません。

そして薬剤師国家試験を受験するには、高校卒業後、大学の薬学部で6年制の薬剤師養成課程を修了する必要があります。

薬学部には6年制と4年制があります。薬剤師法と学校教育法の改正を受けて、2006年度の入学者から剤師養成課程の修業年数が4年から6年に延長されました。

しかし、薬学生には薬剤師として臨床で活躍する以外にも、研究者として製薬企業や大学で新薬の開発に貢献する選択肢もある。との理由から国立大学を中心に4年制課程を残す大学が出てきました。

そのため、現在でも薬学部には薬剤師の養成を目指す6年制課程と研究者の養成を目指す4年制課程があります。

ただし、研究者になるには修士号や博士号が必要とされることが多いため、いずれにせよ最低6年間は勉強することになります。

なお、2017年度までの入学者に対しては、4年制課程修了後に大学院で実習を含む不足単位を取得することによって、薬剤師国家試験の受験が認められました。しかし、2018年度以降の入学者に対してはその特例がなく、薬剤師国家試験を受験できるのは6年制課程の修了者のみとなっています。

薬剤師国家試験は年に一回、毎年2月に実施されます。薬剤師国家試験は全345問出題されます。

薬剤師国家試験の合格率は、過去5年間68〜69%台で推移しています。

2024年2月に実施された第109回薬剤師国家試験の結果は次のとおりです。

薬剤師の業務

薬剤師の昔

【薬局薬剤師】

調剤業務として処方せんに基づいて調剤し、くすりの正しい服用方法、保管方法を伝え飲み合わせのチェックなどを行っています。

そのためには、患者さんごとの体質、アレルギー、副作用、有効性などの履歴の確認、管理を行う必要があります。

また、在宅医療では患者さんの自宅へ出向き、薬の飲み方、有効性、品質の確保などを行います。

在宅医療はチーム医療です。医師をはじめ、訪問看護師や歯科医師、ケアマネージャー、ホームヘルパーなどと連携して患者をサポートする必要があります。

高齢化などの影響で在宅医療のニーズが高まる中で、薬剤の管理や正しい服用の指導を担う薬剤師についても在宅医療への参加がより強く求められています。

一般医薬品を販売する際は、消費者の求めに応じ、最適な薬を選択しセルフメディケーション(自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること)をサポートすし、症状の度合いにより専門医へ受診勧奨します。

また、禁煙サポート、ドーピングの可否(スポーツファーマシスト)に関わる相談など専門知識で対応している薬局薬剤師もいます。

平成28年4月より「かかりつけ薬剤師」制度がスタートし、患者さんが薬剤師を指名し、毎回同じ薬剤師が担当することで他の医療機関や薬局で受けっと多薬や市販薬、サプリメント等を把握して安全に薬が服用出るようにサポートすることも求められています。

【病院薬剤師】

医薬品の調剤、注射薬や点滴の調製・管理、適切なくすりの飲み方の指導、臨床検査などを行うほか、医薬品の在庫管理・品質管理を行います。病棟業務では、入院患者の薬を直接ベッドサイドまで持って行き、効果や副作用を説明します。

また、カンファレンスなどに参加し、薬の専門スタッフとして、医師やその他医療スタッフとともにチーム医療に取り組みます。また医師その他医療スタッフに提供するため、医薬品に関する情報を収集、管理する業務である、医薬品情報提供業務もあります。

医薬品を有効かつ安全に使用するために、血液中のくすりの濃度を測定し、患者さん個々に適した投与量や投与方法を決定する、薬物治療モニタリング(TDM)や、おくすりの消化吸収や副作用による食欲不振を把握し、その改善策を医師等に助言し、栄養剤について患者・家族に説明・指導する、栄養サポートチーム(NST)としての役割も担っています。

【製薬会社の薬剤師】

おくすりの研究・開発や品質管理のほか、おくすりに関する情報を収集・管理し、医師、薬剤師(病院や薬局)、看護師等からの問い合わせに応じて、適切に専門的な情報を提供しています。また、化粧品は薬事法で取り扱いを規制されていることから、化粧品メーカーで、化粧品の商品開発などを行う薬剤師もいます。

【卸販売会社の薬剤師】

病院や薬局へのおくすりを売る、おくすりの問屋に勤める薬剤師です。おくすりの保管管理を行い、病院や薬局からのおくすりの問い合わせに対応して専門的な情報を提供しています。

【行政の薬剤師】

国、県庁、保健所などに勤める薬剤師です。薬事監視員として、医薬品等の表示・保管・適正使用について調査、指導、監視をしたり、衛生研究所などの公立研究機関では、試験検査、医薬品研究などを行っています。警察や自衛隊で、麻薬取締官や自衛隊薬務官として働いているのも行政薬剤師です。

【学校薬剤師】

非常勤特別職として、主に、薬局薬剤師や病院が教育委員会等から委任されて、小中学校並びに高校において学校保健の仕事をします。

学校校舎の衛生管理、プール水や水道の検査、教室の空気・温度・湿度・照度・騒音などの検査を定期的に行い、その検査結果を考慮し必要に応じて、学校に指導・助言します。

また、児童生徒などを対象に、薬の正しい使い方や薬物乱用防止。たばこの害、アルコールの害などの授業を行うこともあります。